【スイス在住者徹底解説】スイスで英語は通じる?4か国語を話す国スイス

スイス旅行

はじめに

ヨーロッパの真ん中に位置するスイス。永世中立国であったり、ハイジの物語の舞台となったことは知られていますが、一体何語で喋っているののかは意外と知られてないかと思います。
実はスイスの言語は4つに分かれており、とっても複雑な構成をしています。
今回はスイスの公用語の紹介と、スイス人がそれだけの英語力を持っているかについてご紹介します。

スイスの基本情報

スイスはドイツ、イタリア、フランス、オーストラリア、 リヒテンシュタインの5ヶ国の真ん中に位置しています。ヨーロッパのちょうど真ん中あたりで、面積は九州と同じくらいです。
首都はベルンですが、商業の中心で最大都市はチューリッヒです。
人口は800万人(神奈川県の人口より少し少ないくらい)でそのうち25%が他国からの移民と、かなり移民の割合が高い国です。

スイスの言語

九州ほどの面積しかない小さな国であるスイスですが、なんと4カ国語の公用語があり、それぞれの地域ごとに話す言語が異なっています。

ドイツ圏

スイスの最も広い地域で使われている言語がドイツ語で、約63%の地域で使用されております。ただ、このドイツ語がかなり厄介です。
スイス人の話すドイツ語はドイツ人の話すドイツ語ではなく、スイス独自のドイツ語「スイスジャーマン」を話します。
スイスジャーマンはスイス独自の言葉のため、ドイツ人も理解することができません
いわば、訛りのような感じで、日本の標準語話者が沖縄の方言がわからない、と言うのと同じような感覚です。

また、この「スイスジャーマン」の厄介なところが、文法がないところ。
地域によって文法や単語が違うので、同じスイスジャーマン話者でも理解し合えないことがしばしばあります。

学校や職場では標準ドイツ語(ドイツ人の話すドイツ語)で会話をするのが一般的のため、ほとんどの人がスイスジャーマンと標準ドイツ語の両方を話すことができます

フランス語圏

フランス語はスイスで2番目に多く使われている言語で、約23%の地域で使用されています。
フランスの国境近い西部で使用されており、「Suisse Romande (スイス・ロマンド)」と呼ばれています。フランス人の話すフランス語とスイス人の話すフランス語はほぼ同じため、両者支障なくコミュニケーションすることができます。

国際連合やWHO(世界保機関)など国際的な機関のほとんどはフランス語圏であるジュネーブにあります。

イタリア語圏

3番目に多い言語はイタリア語ですが、使用率はガクンと下がり約6.5%の地域で使用されています。
一番代表的な地域はスイス人がバケーションでよく訪れるティチーノ州です。
ただ、このイタリア語最近では使用する人の割合がかなり減ってきているため、スイスの国語としての立ち位置が危ぶまれている、と言う状況にもあるそうです。
イタリア語圏に住む人の多くが、ドイツ語やフランス語など第二外国語を習得している人が多いようです。

また、スイスのイタリア語圏はイタリアの同様に気候がとても良く、ドイツ語圏よりも温暖で晴れの日が多いです。

ロマンシュ語圏

そして、スイスのもうひとつの公用語がロマンシュ語です。ロマンシュ語はラテン語の口語とケルト人、ラエティア人の言語の3つの言語が混ざって発展した言語です。(筆者はそもそもラエティア人を初めて聞きました)

1938年の国民投票で約92%の人が賛成してスイスの公用語となりましたが、現在では約0.5%の地域でのみ話されており、消滅の危機に瀕しています。
ロマンシュ語が話せる人を見つけると、スイス人も驚くほど希少な存在です。

東ヨーロッパのアルバニアやコソボからの移民が非常に多いスイスでは、アルバニア語がロマニシュ語と変わり第4のスイスの公用語になったよ、とジョークを言う事もしばしばです。

スイス人の英語力

4つの言語が入り交じった複雑な言語構成のスイスですが、日常で英語を話すことはほとんどありません。そのため、都市部を出ると英語をほとんど話せないスイス人も多くいます。

ただ、チューリッヒツークなどインターナショナルな会社が多い地域では学校での英語教育がしっかりしているため、他の州に比べて英語の話せる人が多くいるように感じます。

ただ、スイスではケンブリッジ英語検定(日本でいう、英検やTOEIC)という英語の検定が就職の際に重要な資格となるので、英語を勉強しに行くスイス人も多くいます。
スイスでは会社で長期休暇が取りやすいこともあり、長期休暇を取りイギリスやオーストラリアなどに英語を勉強しに行く人も多くいます。
オーストラリアの一部地域ではクラスの90%がスイス人だった!なんてこともあるようです。

観光客の多い地域やお店の求人には「英語を話せること」が応募の必須要項になっていることもしばしばあるので問題なく英語を話すことができる場合がほとんどです。
また、ほとんどの人はベーシックレベルの英語は話すことはできるので、英語が話せれば間違えなく問題なく旅行をすることができます。

まとめ


九州程度の面積の小さな国であるスイスですが、4つの言語が混在しておりとても特殊な環境です。
ドイツ語でラジオを聴いていても、イタリア語圏に入った瞬間にラジオがイタリア語になり、まるで国境を超えたかのような気分になります。同じ国でもそれぞれの地域で町の雰囲気や気候も違うので、1つの国で複数の国を周遊した気分になることができます。
スイス旅行の際にゆっくりと時間が取れる方は、ぜひ色々な言語圏に足を運ぶことをお勧めします。


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