東京は、ホテルの「一般客室」にまでバリアフリーの整備基準を条例で定めた自治体です。都の広報は、一般客室について整備基準を条例化したのは「国内で初めて」と説明しています。東京都建築物バリアフリー条例の第11条の2が2019年9月1日に施行され、それ以降に着工した床面積1,000㎡以上のホテル・旅館は、車椅子使用者用客室ではない普通の部屋も出入口の幅80cm以上・室内に段差なしなどの基準を満たす必要があります(和室部分は対象外。便所・浴室の寸法は着工時期で異なります)。つまり東京では、バリアフリールームが満室でも一般客室が使える可能性がある。この記事では条例の実際の数値と、東京都が公表している10施設の客室・エレベーター・貸出備品・駐車場料金を一覧にし、予約時に何を聞けばいいかまでまとめます。
車椅子で泊まれるホテルを探したことがある方なら、この壁にぶつかったことがあるはずです。電話をすると、こう言われる——バリアフリールームは1室のみ、その日は埋まっています。
実際、東京都が公表している宿泊施設のうち、車椅子使用者用客室が1室しかないホテルは珍しくありません。数が少ないので、繁忙期はすぐ埋まります。そして埋まった瞬間、多くの人は「この宿は無理だ」と諦めます。
ところが東京には、他の道府県ではあまり見られない事情があります。東京都は、車椅子使用者用客室だけでなく「一般客室」にもバリアフリーの基準を条例で定めているのです。この事実を知っているかどうかで、東京での宿の探し方が変わります。
結論:東京は「車椅子用の部屋が満室でも」まだ手がある
東京の宿を探すときの順番はこうです。①東京都公表の10施設を見て「基準を満たす部屋」の実物を知る → ②そこが取れなければ、2019年9月1日以降に着工したホテルの一般客室を当たる → ③電話で寸法を確認する。②は、他の道府県に先駆けて定められた東京の制度があってこその選択肢です。
根拠は東京都建築物バリアフリー条例(正式名称は「高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例」)の第11条の2です。この条文は平成31年東京都条例第49号によって新設され、附則で「この条例は、平成31年9月1日から施行する」と定められました(同項にはただし書きが続きますが、第11条の2には関係しません)。
第11条の2の第2項は、一般客室——つまり車椅子使用者用客室ではない普通の客室——について、こう定めています。
| 条文 | 定めている内容(現行の数値) |
|---|---|
| 第2項 第一号 | 一般客室の出入口の幅は、80cm以上とすること |
| 第2項 第二号 | 一般客室内の一以上の便所・浴室等の出入口の幅は75cm以上(客室の床面積が15㎡未満の場合は70cm以上) |
| 第2項 第三号 | 一般客室内には階段又は段を設けないこと(複数階の客室の上下移動、勾配1/12以下の傾斜路を併設した部分、浴室等の防水上必要な最低限の高低差は除く) |
| 第2項 第四号 | 第二号の便所・浴室等の出入口に接する通路の幅は100cm以上(客室の床面積が15㎡未満の場合は80cm以上) |
さらに第1項では、道等(道路のほか公園・広場なども含みます)と車椅子使用者用駐車施設の両方から、一般客室までの経路のうち一以上を、階段や段を設けない経路にしなければならないと定めています(傾斜路・エレベーター・昇降機を併設する場合を除く)。部屋の中だけでなく、そこへ至る道までが対象です。
この規定が誰のために作られたのか、東京都の技術的助言がはっきり書いています。「これは、高齢者、車椅子使用者、キャリーバッグを引いた旅行者及びベビーカーを使用する宿泊者等に対して、全ての客室まで経路上の段差を禁止することで、円滑な移動が可能となるように定めているものである。」つまり車椅子の方だけのための制度ではありません。歩くのが不安なご家族も、ベビーカーの方も、大きな荷物を引く方も、同じ規定の受益者です。
ただし、この数値は現行(令和7年6月1日施行版)のものです。着工した時期によって適用される数値が違うので、その条件は次の章でまとめます。
国のバリアフリー法が義務づけているのは、一定規模以上(客室総数50以上)のホテルへの「車椅子使用者用客室」の設置です。東京都はそれに加えて、普通の部屋(一般客室)にも整備基準を課した。広報東京都2019年5月号は、この改正について「車椅子使用者用以外の『一般客室』について、国内で初めて整備基準を条例化しました」と説明しています。結果として、東京では新しいホテルほど、指定のバリアフリールームでなくても入口が広く、室内に段差がない可能性が高くなります。
その条例、あなたが泊まる宿に効くか(規模・時期・和室)
ただし、この条例はすべてのホテルに適用されるわけではありません。「規模」と「着工の時期」という2つの条件があります。ここを誤解すると、期待して電話して落胆することになります。
適用の条件は次の2つです。
- 規模:条例の別表第一で、ホテル又は旅館は床面積の合計1,000㎡以上が対象です。増改築・用途変更の場合、都の技術的助言は「増築、改築又は用途変更……をする部分が1,000㎡以上とし、既存建築物の部分の面積は含まない」としています。つまり大型ホテルでも、工事した部分が1,000㎡未満なら対象外。なお同一敷地内にある他の対象建築物との合計が2,000㎡以上になる場合は、規模を満たしているものとみなされます(第4条第2項)。
- 時期:附則の経過措置に「この条例の施行後に着手する建築……について適用し、この条例の施行前に着手した建築……については、なお従前の例による」とあります。まず2019年9月1日以降に着手(着工)したかどうか。さらに寸法の基準はその後の改正で強化されているため、着工時期によって適用される数値が違います(下の表)。
前章で見た寸法は現行(令和7年6月1日施行版)のものです。この基準は途中で強化されているため、着工した時期によって適用される数値が違います。
| 着工した時期 | 便所・浴室等の出入口 | 出入口に接する通路 |
|---|---|---|
| 2019年9月1日〜2023年9月30日 | 70cm以上が義務(75cm以上は努力義務) | 規定なし |
| 2023年10月1日以降 | 75cm以上(客室の床面積が15㎡未満なら70cm以上) | 100cm以上(15㎡未満なら80cm以上) |
この違いは令和5年東京都条例第26号(2023年10月1日施行)によるもので、東京都都市整備局が公開している新旧対照表で確認できます。なお客室の出入口80cm以上と室内に階段・段を設けないという2点は、2019年の新設時から変わっていません。条例はその後(令和7年6月1日施行)も改正されていますが、そちらは便所・観覧席・駐車場に関するもので、一般客室の基準は変わっていません(同改正の附則に第11条の2の経過措置が置かれていないことからも確認できます)。
基準になるのは「開業した年」ではなく「着工した年」です。大型ホテルは着工から開業まで数年かかることがあるため、2019年9月以降に開業していても、着工が前なら適用外というケースがあり得ます。逆に言えば、開業が新しいほど着工も2019年9月以降である可能性は高くなります(大型ホテルの工期を数年と見た編集部の見立てで、何年以降なら確実という線は引けません)。ただし個別の建物がいつ着工したかは公表されていないことが多いため、「新しいホテルなら期待できる」という当たりのつけ方にとどめ、最終的には電話で寸法を確認してください。
また、条文は和室部分を第2項(客室内の寸法・段差)の対象から除外しています(第2項ただし書き)。旅館の和室を検討している場合、客室内の寸法基準は当てにできません。ただし第1項の「客室までの段差のない経路」は和室にも適用されます。さらに都の技術的助言によれば、和室部分とは「畳を中心とした一体の室」を指し、「和洋室では、客室入口から洋室部分へ行き来できる場合、当該洋室部分は、基準適用の対象となる」とされています。和洋室なら洋室部分には基準が効くわけです。さらに風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営適正化法)の一部の施設と、旅館業法の簡易宿所営業の施設は条文自体の対象外です。ゲストハウスやカプセルホテルの多くは簡易宿所営業にあたるため、ここも対象から外れます。
| 条件 | 当てはまる | 当てはまらない |
|---|---|---|
| 規模 | 床面積1,000㎡以上(増改築・用途変更なら工事部分が1,000㎡以上。既存部分の面積は含まない)/または同一敷地内合計2,000㎡以上 | 小規模なビジネスホテル・旅館。既存ホテルの小規模改修も対象外 |
| 時期 | 2019年9月1日以降に着工した新築・増改築・用途変更の部分 | それ以前に着工した建物(=既存の多くのホテル) |
| 部屋の種別(第2項の客室内基準) | 洋室の一般客室 | 和室部分(ただし第1項の経路の規定は和室にも適用) |
| 営業種別 | ホテル営業・旅館営業 | 簡易宿所営業(ゲストハウス等)、風営法の一部施設 |
整理すると、条例が効くのは「都心部に近年できた、ある程度の規模のホテル」です。東京にはこの条件に当てはまる宿がかなりの数あります。だから「バリアフリールームが取れなかったら終わり」ではない——これが東京の宿探しにおける、最も実用的な知識です。
東京の宿を探すエリアと日程で空室を確認できます。気になる宿が見つかったら、この記事のチェックリストを持って電話してくださいPR「85cm」と「80cm」は別の基準。混同すると宿選びを外す
東京の宿情報には2種類の数字が出てきます。車椅子使用者用客室の基準(出入口85cm以上)と、一般客室の基準(出入口80cm以上)です。同じ「バリアフリー」でも要求水準が違います。
東京都が「東京都内 誰もが快適に過ごせる宿泊施設」として紹介している10施設は、車椅子使用者用客室の基準を満たしたものです。都のページによれば、この基準は「東京都福祉のまちづくり条例・建築物バリアフリー条例に基づく」もの、つまり2本の条例に由来します。技術的助言によれば、85cmは建築物バリアフリー条例の第10条第一号イ(移動等円滑化経路を構成する出入口)に基づく数値です。つまり85cmと80cmは、同じ条例の中の2つの基準ということになります。ページには基準がそのまま書かれています。
- 「①敷地の接する道等から客室まで段差がなく移動できるルートを確保」
- 「②客室は、出入口有効幅85cm以上で室内に段差がなく、車いすが回転できるスペースを確保」
- 「③客室内のトイレ・浴室等は出入口有効幅80cm以上で、段差がなく、手すりを設置し、車いすが回転できるスペースを確保」
一方、前章で見た一般客室の基準は、出入口80cm以上・トイレ浴室の出入口75cm以上(15㎡未満は70cm以上)です。並べると差がはっきりします。
| 項目 | 車椅子使用者用客室(都の掲載基準) | 一般客室(条例 第11条の2) |
|---|---|---|
| 客室の出入口 | 有効幅85cm以上 | 80cm以上 |
| トイレ・浴室の出入口 | 有効幅80cm以上 | 75cm以上(15㎡未満は70cm以上) |
| 室内の段差 | 段差なし | 階段・段を設けない(例外規定あり) |
| 車椅子の回転スペース | 客室・トイレ浴室とも確保 | 規定なし(通路幅100cmの規定はある) |
| 手すり | トイレ・浴室に設置 | 規定なし |
| 道等・駐車施設から客室までの経路 | 段差なしのルートを確保 | 階段・段のない経路を一以上(傾斜路・EV併設で可) |
表記が「出入口の幅」(条例)と「出入口有効幅」(都の掲載基準)で違いますが、測り方は同じです。東京都都市整備局の技術的助言は、条例の「幅」について「有効寸法であり枠から枠の幅ではなく、扉を開放したときの有効幅をいう」「「開き戸」の場合は、扉厚を含めずに実際に扉を90度開けたときの建具の内法幅、「引き戸」の場合は引き残しを含めずに建具の内法幅」と定義しています。つまり85cmと80cmは正味5cmの差です。ただしホテルが独自に出す「入口ドア幅」はこの定義に従うとは限らないので、電話では「有効幅は何cmですか」と指定してください。
そのうえで、この差が実際に何を意味するか。一般客室には「車椅子が回転できるスペース」と「手すり」の規定がありません。つまり入口は通れて段差もないけれど、部屋の中で向きを変えられるとは限らないし、トイレや浴室に手すりがあるとも限らない。
- ❌ 避けたい判断:「東京の新しいホテルなら条例で基準を満たしているはず」と考えて、一般客室をそのまま予約する。手すりがなく浴室が使えなかった、という事態が起こり得ます。
- ⭕ こうすればOK:一般客室は「入口を通れて段差がない部屋」と割り切る。介助で移乗できる方、杖歩行の方、ベビーカーの方には十分な選択肢です。室内での自走と手すりが必要なら、車椅子使用者用客室を優先してください。
東京都が公表する10施設。数値をすべて並べた
東京都産業労働局は、車いす使用者用客室の基準を満たす宿泊施設10軒を、エレベーター基数・貸出備品・車いす使用者用駐車場・駅からのバリアフリールートまで項目立てで公表しています(室面積は項目にはなく、施設によって本文中に書かれています)。項目立てでここまで公表している自治体は多くありません。
掲載は区部5施設・多摩3施設・島しょ2施設の計10施設です。まず区部の5施設を、都が公表している数値のまま並べます。
| ホテル | 部屋 | 共用トイレ/EV | 貸出備品 | 駐車場 |
|---|---|---|---|---|
| 秋葉原ワシントンホテル(千代田区) | ユニバーサルルーム 1室・21㎡(1ベッド) | 3階に1か所/EV3基(内1基が車いす使用者対応) | 車いす/シャワーチェア/滑り止めマット | なし |
| ロイヤルパークホテル(中央区) | アクセシブルルーム 1室(6階) | 1階に1か所/EV4基(内1基) | 車いす/浴槽滑り止めマット/シャワーチェア/バスボード/バスタブ取付式手すり/バスチェアー | 予約不要(1泊1,500円) |
| リッチモンドホテル浅草(台東区) | ユニバーサルツインルーム 1室・29㎡(2ベッド) | 1階に1か所/EV2基(内1基) | 車いす/シャワーチェア | 要電話予約(1泊1,500円) |
| JR東日本ホテルメッツ 五反田(品川区) | プレミアムツイン 1室・30㎡(4階・バストイレ独立型) | 3階に1か所/EV2基(内1基) | シャワーチェア/浴槽用手すり/浴槽用滑り止めマット/浴室用踏み台 | 要電話予約(1泊2,000円) |
| 赤羽ホリックホテル(北区) | ユニバーサルツイン 2室・25.2㎡(4階と5階に1室ずつ) | 1階に1か所/EV2基とも車いす使用者対応 | 車いす | 要予約(1泊1,500円) |
多摩・島しょの5施設は次のとおりです。
| ホテル | 部屋 | 駅・港・空港からのバリアフリールート |
|---|---|---|
| 東横INN東京八王子駅北口(八王子市) | ハートフルルーム 1室(2階エレベーター前・バストイレ分離型) | JR八王子駅北口からエレベーターで地上へ、フラットな歩道で徒歩4分 |
| ホテル日航立川 東京(立川市) | デラックスツイン 1室 | JR立川駅南口改札から徒歩7分、フラットなルート |
| 奥多摩の風 はとのす荘(奥多摩町) | バリアフリールーム 2室 | JR青梅線鳩ノ巣駅より徒歩約5〜7分。ただし駅に段差解消ルートがなく、坂道もあるため車でのアクセスがすすめられています |
| 大島温泉ホテル(大島町) | バリアフリー対応洋室 1室(39㎡) | 元町港・岡田港から介護タクシー(要予約)で18分。エレベーターなし・館内共用の車いす対応トイレなし |
| 八丈ビューホテル(八丈町) | アクセシブルルーム 20室(都の掲載10施設で最多)・バス・トイレ分離型(シャワールーム) | 八丈島空港から介護タクシー(要予約)で5分。車いす使用者用駐車場は要予約・無料 |
島しょの2施設は、港・空港からの移動そのものが「介護タクシー(要予約)」です。現地で車を拾える前提で行くと動けません。部屋と同じタイミングで移動手段も押さえてください。
この表から見えることが3つあります。ひとつめは、区部の掲載施設はほぼすべて「1室のみ」だということ。複数室あるのは赤羽ホリックホテル(2室)だけです。ふたつめは、バストイレが独立している部屋は貴重だということ。都のページで分離が明記されているのは3軒です。JR東日本ホテルメッツ五反田(「トイレとバスルームが別でスペースも適切」)、東横INN東京八王子駅北口(「介助者や同行者とのプライバシーを確保可能なバス・トイレ分離型」)、そして八丈ビューホテル(「バス・トイレ分離型で、シャワールーム内にはベンチタイプのいすの設置あり」)。八丈ビューホテルは浴槽ではなくシャワールームなので、浴槽への移乗が難しい方にはさらに条件が良い1軒です。奥多摩の風 はとのす荘も「入口、トイレ、洗面所、浴室のドアは引き戸」と記載され、別室構成であることがうかがえます。介助者と時間帯を分けて使いたい場合、この違いは大きく効きます。
三つめは、貸出備品の差が大きいことです。ロイヤルパークホテルはバスボード・バスタブ取付式手すり・バスチェアーまで揃えている一方、赤羽ホリックホテルの貸出備品欄は車いすのみです(ただし同じページのバス・トイレ欄には「※シャワーチェアは常備」とあります)。必要な福祉用具を持参するかどうかは、この表で当たりをつけてから電話で確定してください。
東京都の各施設ページには「※2024年2月の情報です。詳しくは各施設にご確認ください。」と明記されています。室数・料金・貸出備品は変わっている可能性があります。この表は「何を聞けばいいか」の設計図として使い、最終確認は必ず施設へお願いします。また、この10施設は都が事例として紹介しているものであり、東京都内でバリアフリー対応の客室を持つホテルがこれだけ、という意味ではありません。
予約は電話がいちばん確実。オンラインの空室表示で判断しない
バリアフリールームは、オンラインの予約サイトに出てこないことがあります。東京都の掲載施設でも、予約方法として電話が指定されているホテルがあります。「空室なし」と表示されていても、電話すると空いている場合があります。
都の掲載施設で内訳を数えると、「ホテルへの直接電話のみ」が秋葉原ワシントンホテル・ロイヤルパークホテル・JR東日本ホテルメッツ五反田・ホテル日航立川 東京の4軒、「ホテルの公式ホームページまたは直接電話」が赤羽ホリックホテル・東横INN東京八王子駅北口・奥多摩の風 はとのす荘・大島温泉ホテル・八丈ビューホテルの5軒、リッチモンドホテル浅草はカスタマーセンターへの電話です(4+5+1で10施設ぶん)。たとえば秋葉原ワシントンホテルは、都のページで予約方法が「ホテルへの直接電話のみ」(03-3255-3311・24時間対応)と明記されています。リッチモンドホテル浅草は「リッチモンドホテルズカスタマーセンターへお電話ください」(050-3183-0414・9:00〜21:00/時間外はホテル直通03-5806-0255)です。
理由は想像がつきます。バリアフリールームは1室しかないことが多く、利用者の状態に合わせた準備(貸出備品、家具の配置、避難時の配慮)が必要だからです。都の掲載ページにも「ベッド横にあるソファーの向きを変えていただく等家具の配置を調整することで、移乗も楽になり快適に過ごせました」という利用者の声が載っています。電話は面倒な手続きではなく、部屋を自分に合わせてもらう機会だと考えてください。
- まずオンラインで日程と料金の相場を確認する。予約はまだしません。
- ホテルに電話して、バリアフリールームの空きを聞く。オンラインで満室でも、この段階で空いていることがあります。
- 必要な設備を具体的に伝える。「シャワーチェアはありますか」「トイレの手すりは可動式ですか」「入口の幅は何cmですか」。
- 家具の配置を相談する。ベッドの向き、ソファの位置、車椅子を置くスペースとコンセント。
- 駐車場が必要なら同時に予約する。多くが要予約・有料です(次章)。
- 当日の到着時刻を伝える。荷物を運ぶサポートを用意してくれる宿があります。
車で行くなら、駐車場は部屋より先に押さえる
東京のホテルでは、車椅子使用者用駐車場が要予約であることがほとんどで、多くは有料です。しかも料金は宿ごとに違います。部屋が取れても駐車場が取れなければ、当日の動線が崩れます。
東京都は10施設すべてについて車いす使用者用駐車場の条件を公表しています。並べると、扱いのばらつきがよく分かります。
| ホテル | 予約の要否 | 料金(1泊) |
|---|---|---|
| ロイヤルパークホテル | 予約不要 | 1,500円 |
| リッチモンドホテル浅草 | 要電話予約 | 1,500円 |
| 赤羽ホリックホテル | 要予約 | 1,500円 |
| JR東日本ホテルメッツ 五反田 | 要電話予約 | 2,000円 |
| 東横INN東京八王子駅北口 | 要予約 | 1,000円 |
| ホテル日航立川 東京 | 車いすユーザーのみ電話予約可能 | 1,000円 |
| 奥多摩の風 はとのす荘 | 要予約 | 無料(玄関脇に1台分・車寄せあり) |
| 八丈ビューホテル | 要予約 | 無料 |
| 大島温泉ホテル | — | 車椅子使用者用駐車場なし |
| 秋葉原ワシントンホテル | — | 車椅子使用者用駐車場なし |
10施設で数えると、有料6・無料2・駐車場なし2(うち予約不要が1)。注目したいのはホテル日航立川 東京の「車いすユーザーのみ電話予約可能」という条件です。一般の宿泊客は予約できず、車椅子利用者だけが事前に確保できる運用のようです(理由までは公表されていません)。都のページに書かれていたから分かったことで、公表していない宿でも同じような運用はあり得ます。電話で聞く価値のある項目です。
そして秋葉原ワシントンホテルと大島温泉ホテルには車椅子使用者用駐車場がありません。秋葉原は駅から徒歩1分でフラットという立地の良さと引き換えで、車で行くなら選択肢から外れる一方、電車なら極めて優秀という判断になります。大島温泉ホテルは事情が違い、エレベーターもなく、館内共用の車いす使用者対応トイレもありません(「客室への通路に7段の階段があるが、段差解消機の設置あり」と記載)。島しょは条件が本土と大きく違うので、行く前に必ず個別に確認してください。
- ❌ 避けたい判断:部屋を先に予約し、駐車場は当日どうにかする。東京は周辺のコインパーキングも高さ制限や区画幅の制約があり、福祉車両が入れないことがあります。
- ⭕ こうすればOK:部屋と駐車場を同じ電話で同時に押さえる。どちらか一方が取れないなら、その宿は諦めて次を当たるほうが早い。
掲載10施設以外から選ぶときに、電話で聞くこと
東京都の掲載は10施設ですが、都内にはこれ以外にもバリアフリー対応の客室を持つホテルが多数あります。都の掲載基準を「質問リスト」に変換して使えば、掲載外の宿も同じ精度で判断できます。
実際、ホテル側が自主的に詳しい情報を公開している例もあります。京王プラザホテル(新宿)は公式サイトで「ユニバーサルルームは13室(3タイプ)ございます」と明記し、部屋タイプごとの寸法まで公開しています。公式の表記は「入口ドア幅」で、デラックス85cm、ラグジュアリーデラックスとジュニアスイートは90cm。「バスルーム入口のドア幅は80cmです」。バスルーム内の転回スペースはデラックスが直径120cm、他2タイプが直径150cm——ここまで数字が出ていれば、電話しなくても見当がつきます。
ただしひとつ注意があります。京王プラザの表記は「入口ドア幅」で、これは条例が定義する語ではありません。条例と都の基準はどちらも有効幅(扉を90度開けたときの建具の内法幅、引き戸は引き残しを除く内法幅)で測りますが、ホテル独自の表記が同じ測り方とは限りません。比較するときは「何を測った数字か」まで聞いてください。
残念ながら、ここまで公開している宿はまだ少数です。大半は電話で聞くしかありません。聞くべきことは、都の掲載基準と各施設ページの記載項目をそのまま質問文に直せば作れます。
| 聞くこと | なぜ聞くのか | 望ましい答えの目安 |
|---|---|---|
| 客室の出入口の有効幅は何cmですか | 通れなければ何も始まらない | 車椅子使用者用客室なら85cm以上(都の基準) |
| トイレ・浴室の出入口の有効幅は何cmで、手すりはありますか | 入口を通れても手すりがないと使えない | 80cm以上+手すり設置(都の基準) |
| 部屋の中とトイレの中で、車椅子は回転できますか | 一般客室にはこの規定がない。ここが分かれ目 | 「回転できるスペースを確保」と言えるか |
| バスとトイレは一体型ですか、独立していますか | 介助者と時間帯を分けたい場合に効く | 独立型なら使い勝手が上がる |
| 駅からホテルまで、どの出口を使えば段差がありませんか | 毎日往復する区間。ここが旅の疲れを決める | 出口番号とエレベーターの位置を答えられるか |
| 貸出備品は何がありますか | 持参すべき福祉用具が決まる | シャワーチェア・浴槽用手すり・バスボードなど |
| 車椅子使用者用駐車場は予約制ですか、料金は | 当日では取れない | 要予約。都の掲載施設は1泊1,000〜2,000円が中心(無料の例も) |
| その部屋は何階で、エレベーターから近いですか | 災害時の避難のしやすさに直結する | 低層階かつエレベーター至近が理想 |
最後の項目は見落とされがちですが、都の掲載ページでも繰り返し触れられています。ホテルメッツ五反田については「低層階の4階でエレベーターホールの近く。火災等の災害時において、避難しやすい位置の客室です」、東横INN東京八王子駅北口については「2階エレベーター前で、火災等の災害時避難を想定すると安心」と書かれています。部屋の位置は、快適さだけでなく安全の問題でもあります。
ロイヤルパークホテルの空室・料金を見る半蔵門線水天宮前駅4番出口のエレベーターから、フラット(一部スロープ)でホテルへ。駐車場は予約不要。ただしアクセシブルルーム(1室)はホテルへの直接電話のみの受付です(03-5641-2958)PR予約前に確認しておきたいこと
- 東京都「東京都内 誰もが快適に過ごせる宿泊施設」の10施設をまず見る。基準を満たす部屋の実物が、数値付きで分かります。
- 行きたいエリアと重なるかを確認する。重なれば第一候補。重ならなければ次へ。
- 車椅子使用者用客室が取れない場合、2019年9月1日以降に着工したホテルを当たる。他の道府県に先駆けて定められた東京の制度による選択肢です。ただし着工年は非公表のことが多いため、電話で寸法を確認します。
- 電話で客室の出入口幅・トイレ浴室の幅・手すり・回転スペースを聞く。この4つで実用性はほぼ判断できます。
- バストイレが一体型か独立型かを聞く。介助が必要なら独立型が楽です。
- 貸出備品を確認し、足りないものだけ持参する。宿によって差が大きい項目です。
- 車なら駐車場を同時に予約する。要予約が基本で、都の掲載施設では1泊1,000〜2,000円(無料の施設もあります)。
- 部屋の階数とエレベーターからの距離を聞く。避難のしやすさに関わります。
- 駅からの経路を出口番号まで聞く。「どの出口から出て、途中に段差はありますか」と具体的に。
泊まる場所が決まったら、次は回り方です。東京全体の組み立ては東京 旅行 バリアフリー、浅草に泊まる場合の回り方は浅草 車椅子にまとめています。移動手段そのものについては新幹線 車椅子と飛行機に車椅子で乗る方法をどうぞ。
Q東京のバリアフリールームは、どのくらい前に予約すべきですか?
Qバリアフリールームが満室でした。ほかに手はありますか?
Q「ユニバーサルルーム」「アクセシブルルーム」「バリアフリールーム」は何が違うのですか?
Q車で行く場合、駐車場はどうなりますか?
Qバスとトイレが一体型だと使いにくいですか?
Q掲載されている10施設以外は、バリアフリー対応ではないのですか?
東京のバリアフリー旅行をもっと詳しく
この記事は、東京都「高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例(建築物バリアフリー条例)」の条文原文(東京都都市整備局が公開する令和7年6月1日施行版PDF・第11条の2、第4条、別表第一、附則)、東京都産業労働局観光部受入環境課「東京都内 誰もが快適に過ごせる宿泊施設」の掲載基準および各施設ページ(同ページは「※2024年2月の情報です」と明記)、東京都都市整備局「高齢者・障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例の改正について(令和5年3月31日改正)」の新旧対照表、広報東京都2019年5月号「宿泊施設のバリアフリー化を推進」、京王プラザホテル公式サイトのユニバーサルルーム案内をもとに、2026年8月21日時点で整理したものです。条例は複数回改正されています。着工時期による基準の違いは、東京都都市整備局が公開する令和5年3月31日改正の新旧対照表で確認しました。また個別のホテルがいつ着工したかは公表されていないことが多く、条例の適用可否を建物ごとに断定することはできません。京王プラザホテルの「入口ドア幅」は条例が定義する語ではないため、有効幅と同じ測り方とは限りません。予約時にご確認ください。室数・料金・貸出備品・駐車場条件は変更されることがあります。予約の前に、必ず各施設へ直接ご確認ください。
※ 設備や運営状況は変わることがあります。お出かけ前に各施設の公式情報で最新をご確認ください。 本記事は2026.08.21時点の情報をもとに、すいすいTRAVEL編集部が作成しています。